憲法・新憲法案(2005年)比較表

(注意:平和人権に関して特に注意すべき個所を抜粋したものです。)

日本国憲法

現行憲法自民新憲法案 (2005年)
前文前文
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
 日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。

 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧制や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。

 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。
第二章 戦争の放棄第二章 安全保障
〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
(平和主義)
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

(自衛軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。

2 自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところ により、国会の承認その他の統制に服する。

3 自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

4 前二項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。
第三章 国民の権利及び義務第三章 国民の権利及び義務
〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
(国民の責務)
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。
〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
(個人の尊重等)
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
〔信教の自由〕
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
(信教の自由)
第二十条 信教の自由は、何人に対しても保障す る。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、 又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事 に参加することを強制されない。

3 国及び公共団体は、社会的儀礼又は習俗的行 為の範囲を超える宗教教育その他の宗教的活 動であって、宗教的意義を有し、特定の宗教に 対する援助、助長若しくは促進又は圧迫若しく は干渉となるようなものを行ってはならない。
〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
(表現の自由)
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の 自由は、何人に対しても保障する。

2 検閲は、してはならない。

(国政上の行為に関する説明の責務)
第二十一条の二 国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。
〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない。
(婚姻及び家族に関する基本原則)
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基づいて 成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本 として、相互の協力により、維持されなければ ならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、 離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事 項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本 質的平等に立脚して、制定されなければならな い。
〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
(生存権等)
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低 限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、国民生活のあらゆる側面について、社 会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

(国の環境保全の責務)
第二十五条の二 国は、国民が良好な環境の恵沢 を享受することができるようにその保全に努 めなければならない。

(犯罪被害者の権利)
第二十五条の三 犯罪被害者は、その尊厳にふさ わしい処遇を受ける権利を有する。
〔財産権〕
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
(財産権)
第二十九条 財産権は、侵してはならない。

2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上及び活力ある社会の実現に留意しなければならない。

3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のため に用いることができる。
第四章 国会第四章 国会
〔国務大臣の出席〕
第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
(国務大臣の議院出席の権利及び義務)
第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院のいずれかに議席を有すると有しない とにかかわらず、いつでも議案について発言するため議院に出席することができる。

2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁又は 説明のため議院から出席を求められたときは、職務の遂行上やむを得ない事情がある場合を 除き、出席しなければならない。
第六章 司法第六章 司法
〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
(裁判所と司法権)
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

2 特別裁判所は、設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。

3 軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。

4 すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
〔財政状況の報告〕
第九十一条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
(財政状況の報告)
第九十一条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
第八章 地方自治第八章 地方自治


(地方自治の本旨)
第九十一条の二 地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。

2 住民は、その属する地方自治体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を公正に分任する義務を負う。

(地方自治体の種類等)
第九十一条の三 地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括し、補完する広域地方自治体とする。

2 地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
〔地方自治の本旨の確保〕
第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
(国及び地方自治体の相互の協力)
第九十二条 国及び地方自治体は、地方自治の本旨に基づき、適切な役割分担を踏まえて、相互に協力しなければならない。
〔一の地方公共団体のみに適用される特別法〕
第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない
削除
第九章 改正第九章 改正
〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第九十六条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議に基づき、各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体であるものとして、直ちに憲法改正を公布する。



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